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GoodLack 04-01

GoodLack
10 /31 2011
「大事な話があるんです!」

 まだからかわれ続けるのかと身を構えたが、三橋様は真剣なまなざしで真っ直ぐと瞳を見つめて、
「仕事の話です」
 と付け加えられ、なにを期待していたのかと胸の中で自分自身を嗜めた。
 仕事の話。そこでふと気づいた。三橋様の自分の腕を掴む手の力が思いの外強い。よほど重大なことなのだろうかと、どんなことが来ても受け止めようと心の中で覚悟を決める。

「この話をする前に、ひとつ確認させてもらってもいいですか?」
 ふぅと心を落ち着かせ、静かに首を縦に振った。

「私と希望さん、どちらが大切ですか?」
「え」

 突然の質問に再び戸惑う。そう、それは自分にとって、ある種究極の質問であった。希望さんは自分にとって、昔からの大切な人。三橋様は自分たち、天使にとって、絶対に守るべき存在。それに、三橋様とは、ただの上司と部下と言う間柄だけに留まらず、個人的にお世話になったことも多い。『希望ノ羽』の認可の件や、希望さんに関わる仕事に携わらせてくれたことなど、受けた恩は多大なもので、上司として大切に思うというだけではなく、一人の人物としても大切に思っている。それをどちらがより大切であるか決めるなんてことは、自分にできるようなことではない。
「それは…」
 答えを決められない。ただその場に立ち尽くすだけしかできない。三橋様の見守るような優しい視線も相まって、自分の中でとても気まずい時間が流れていた。
「やはり、優しすぎますね…」
 自分の答えを待たず、三橋様がぼそりと呟いた。そして、
「あなたが私を大切に思ってくださること、うれしく思います」
 笑みを見せてくれた。この方はとても幸せそうなうれしそうな顔で笑われる。この笑顔を見るたびに絶対に守っていきたいと思ってしまう。

「まあ確認にはなりましたので、本題に入りましょう」
 答えは出さなかったが、確認はできたらしい。いよいよ本題ということで、再び身構える。またさっきの質問みたいに変な話じゃなければいいがと心の内で思っていた。

「実は最近、気になることがあり、極秘裏に調査しようと思いまして、地上に参りました。」
 そこから、三橋様に、この地区で秘密裏に『希望ノ羽』が複数回ダウンロードされたことを聞かされた。
 『希望ノ羽』は、ダウンロードするだけならば、天界で資格さえとれば、手続きを済ませ可能となる。ただ使用するとなっては別で、厳しい審査の末に、認可がくだされ、解除コードを『希望ノ羽』に示し、やっと使用可能になる。『希望ノ羽』は、あくまで究極保険といった立ち位置に位置づけられている代物。警官の拳銃のようなものだ。それよりもさらに厳しく自分の意志だけでは発動できないということも加えられるが。
 その多大なポテンシャルを秘めた『希望ノ羽』が許可申請なしで、ダウンロードが行われたという。使用認可がないので、さすがに使用するということは不可能だろうが、そのダウンロードが秘密裏に行われたというのが問題である。なぜ秘密裏に行われたのか、またどうやってダウンロードを可能にしたのか、見過ごせない事態である。そして今回、その不正に気づいた三橋様が、自ら休暇という名目を挙げて、調査に来たということらしい。

「手伝っていただけますか?」
「仰せのままに」

 調査に同行することを了承する。というより、三橋様一人で調査させて危ない目に合わせるわけにもいかない。それに三橋様は自分を頼りにし、単独でここまで出向き、依頼してくださったのだ。それを無下にすることなどできるわけがない。

「それから、他の方にはこのことはくれぐれも秘密にお願いしますねー」
「はい、巻き込むわけにはいきませんからね」
「それもありますけどー」
 休暇という名目を挙げてここに来たのだ。何に対してもなるべく秘密で済ませておきたいのだろう。
「希望さんたちに知れたら、折角の休暇の雰囲気が重くなってしまいますからー。希望さんたちと過ごすのが思いの外楽しくてー、うふふふふー」

 大胆不敵なことに、この神様は自身の休暇を名目で終わらせる気はないらしい。
 あなたならば、万事平穏に解決できると信頼されているような感じ。是非ともその期待に応えなくてはならないだろう。

「そうそう、羽塚さんー」
 がんばるぞーと気合を入れているところに三橋様の間の延びた声が挟まれ、

「どちらが大切か、決めておいてくださいね」

 答えの出なかったこの質問を再度投げかけられたのだった。
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崎原 一研

エキゾチック:
外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。
外国の人から見れば日本も外国。

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