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GoodLack 03-01

GoodLack
03 /12 2011
 時計も15時を周った辺り、本日はデスクワークだけで、正直気が滅入ってくる時間帯でもある。
 そんなデスクワークだけの一日。奇しくも隣のやつもそんな珍しい予定が重なったらしく、
「ねぇ、のーぞみ。」
 集中力が切れるのもだいたい同じらしい。

「その後、どうなったのよ?」
「仕事中なのよ、話しかけてこないでよ。」

 机に向かったまま、そっけなく応える。
「えーいいじゃん!ちょっち休憩しよーよー!」
 椅子の背もたれに体重を預け、ぐーっと背伸びをしながら、わがままな子供のような言い草だ。正直私も、休憩しようと思っていたところだが、もう少し待ってみるとしよう。後で処理しようと思っていた書類を引っ張り出す。それに対して、悟子はあーあーと喚きだす。
「わかった!缶コーヒーを奢ってやろう!」
 その言葉を契機に私は席を立つ。悟子は突然の私の行動に呆気に取られたようになっていた。
「行かないの、休憩?」
「このやろう」という悟子の恨みがましい非難が聞こえていたが、颯爽と私は仕事場から出て行った。


「というかあんたよ。呑気に仕事なんかしてていいの?」
 こいつなんてこと言いやがる。仕事しないと生きてけないっつーの。と思いながらも静かに悟子から巻き上げた缶コーヒーを啜る。
「三橋さんに羽塚さん取られちゃっても知らないよー?」
 休憩室のソファに座る悟子が下からニヤニヤと私を覗き込む。
「さあ、別にいいんじゃない?」
 それに対して、私はとんでもなく冷静だった。悟子は今までニヤニヤした顔をしていたが、きょとんとした顔に変わる。それから心底奇妙なものを見るように、
「仕事のしすぎで変になった?」
 と私の人格を疑い始めたのだった。別に私は変にもなっていないし、いつもどおりである。じろじろと真贋を確かめるように私を見つめる悟子。相変わらずの愉快っぷりに溜息をつく。

 その次の瞬間、悟子の姿が視界から消えた。
 「え」と驚く暇もなく、私は胸に強烈な刺激を受ける。いつのまにか背後に回りこんだ悟子が私の胸を揉んでいた。
「この大きさ…たしかに本物のはず、だが…」
 指をわきわきとさせ、服の上から私の身体を弄る。私はたまらず、甘い嬌声を口端からこぼしてしまう。
 なんでこいつは私の敏感なところを的確に突いてくるのだろう。悟子の手は胸だけでなく、私の全身に伸びる。甘い刺激で考える余裕のなくなる頭の片隅で、感度調査♪感度調査♪という楽しげな台詞が聞こえていた。
 耳から、首筋、脇から背、臍へと快感の蛇が中枢を侵食し、這いずり回る。その指が下半身へと到達しようとした時、休憩室の扉がガチャリと開く。

「「あ」」

 部屋に入ってきたのは、島田所長だった。齢60を超えるこの会社の最高責任者。私たちの絡みを目撃して、当然だろうか驚いた顔をしていた。悟子も見られてはいけないところを見られてしまったこの状況に固まっていた。
 まあ私は悔しいけど、責め苦に失神寸前だったので…
「君ら仲がいいとは思っていたが、こんな関係とは…、時代は変わったのだのぅ…」
「ち、ちがぅ…」
 息も絶え絶えながら、否定しようとするが、思った以上に声が出なかった。
「ほっほっほ…まあ仕事場なので控えめにしておくのじゃぞ。」
 と言い残して、扉を閉め、少し寂しげに去っていった。

「いやぁー…はっはー、まずったねぇー…」

「まずった、じゃ…ねぇ!」
 拘束が弱まったのを好機に、思いっきり悟子の顎に頭突きをかましてやる。いい具合にヒットし、ようやく悟子の拘束から解放される。
 更なる追撃を恐れ、身を硬く抱き、荒れた息を整える。アイタタと顎を押さえ蹲る悟子。
 どうやらスーパー悟子タイムはここまでらしい。
「あんた!なんてことしてくれんのよ!」
 おかげで所長に、在らぬ誤解を与えてしまった。これからどんな顔をして会えばいいっていうのだろう。なんて不幸な出来事だ。
「希望の感度がよすぎるもんでついつい…」
「ついついじゃねぇ!いいわね!?もう絶対こんなことするんじゃないわよ!絶対だからねっ!?」
 顎をさすりながら、はいはいと生返事を返してくる悟子。こいつ本当に反省してんのかと睨みつけてやる。それに悟子は焦ったのか、「ごめんごめん」と必死に平謝りを開始する。

「あ、そうだ!今度の休みになんか買ったげるから機嫌直してよー。」
 と提案されたところで、悟子に言うことがあったのを思い出した。
「ってことは、次の休み空いてるってことよね?」
 もちろんと意気込む悟子。一応反省はしているみたいだ。
「なんなりとお申し付けください、お嬢様!」

「入鹿があと五日で帰っちゃうから、その前の休みの日にみんなでおでかけしたいなーっと思ってるんだけど、計画立てるの手伝ってよ。」
「えー…」
 前言撤回。全然反省していないようだ。再び睨みつける。冗談冗談と弁解するが、この女がふざけているのは変えようもない事実だ。
「そんなの全然かまわないわよ?むしろ誘ってくれてありがとうって感じよ。きっとおもしろい三角関係が見られることだろうし!」
「費用は全部あんた持ちね。」

 そんな殺生な!と返しが来るかと思っていたら、悟子は嫌に真剣な顔をしていた。
「やっぱ…気にはしてるのよね?」
 あまりに真剣な眼差しで見つめてくるものだから、一瞬言葉に詰まる。

「なんのことよ?」

 咄嗟、あまりに咄嗟のことだったから、
「そんなことより、仕事にもどるわよ。まったく…休憩どころか疲れたわ。」
 本音が出そうになっちゃったじゃない。
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崎原 一研

エキゾチック:
外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。
外国の人から見れば日本も外国。

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