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GoodLack 02-01

GoodLack
10 /08 2010
『『いいかげん聞き分けてください。』』
 離れたくないと、抵抗するが、軽く引き剥がされてしまう。こっちは必死で抱きついているのに、いとも簡単に扱ってくれる。

 私にもっと優しくしてよ。
 誰よりも大切に扱ってよ。

「はづかっ!」

『『れもれもーっ!羽塚はわらひのらのぉー!!』』

 気づけば、私は自宅のベッドの上。中空に突き出す手のひらはなにも掴むことはない。
 頭がズキリと痛み、すぐさまその手は、自身の額を押さえる。

『『何言ってんろよ!?こんらののどこが好きらっていうのにょ!?』』

 なんでベッドの上にいるのだろうか。いつから記憶がないのかすら定かでない。

『『むぅぅー…ぅううーっ…!!』』

 必死に思い出す。そう、昨日はみんなで飲みに行って…。記憶がないということは、きっと私、酔いつぶれて…。

『『ほら、いいかげんにして…、離してください。』』

 さっきのは・・・夢?
 私は、羽塚にもっと…。

「で」
『『あんた、私の彼氏でしょ!?』』
「何してんのよ?」

 視線を隣にシフトさせる。
 私の机でなにかしら作業をしていた人物がかけられた声に呼応するようにこちらに視線を送っていた。
 どうやら私のポエムを見ているようではないからとりあえずはよしとしよう。

「思い出の記録。」

 言いながら、その人、悟子はにやりと笑みを見せる。
 私が合点のいかないという顔をしていると、悟子はノートパソコンに向き直る。ちなみにそのノートパソコンは私の仕事用だ。少し操作した後、ローラー付きの私の椅子をガラガラとずらし、ディスプレイを私に見えるようにする。
 ディスプレイに映し出されたのは、一人の男と二人の女。

「って私じゃねーか!?……っていっつぅ…」

 ズキリと頭が痛む。視線は動画に向けたまま、ベッドにうずくまる。
 動画上の私は顔を真っ赤に染め上げている。なるほど…この痛みは二日酔いからか…。
 にしてもこの動画は…覚えがあるような…しかし、はっきりとは思い出せない。うずくまりながら悟子を睨むと、

「昨日、酔いつぶれる前のあなたよ。」

 とまあ痛々しい事実を突きつけてくれる。こんなに胸元を開けて、羽塚にベタベタと身体をからめて、なんて恥ずかしい女なの。

『『あんた、私の彼氏でしょ!?』』

 そう言って、動画の中の私は倒れる。そのまま床に頭を打ち付ける寸前に、羽塚が辛うじて掬い上げてくれて、今このとおり私には外傷はない。

『『ちょ!希望さん!?』』

 と羽塚の驚きの声があがったところで、動画の映像は途切れ、音声だけが流れっぱなしになっていた。
 あまりの恥ずかしさと自身の情けなさに顔を布団に埋める。耳から入ってくる音声によれば、私が潰れた後、帰る相談をしていたようだった。

「激情を伴う嫉妬は見苦しいわよ。」
「っ!!…ぁぅ…っ…」

 布団から顔を上げ、悟子に弁解しようにも、声にもならず、しかも頭も痛いわでもうどうにもやりきれなかった。

「…そもそも…なんで…記録録ってんのよ…。」
「それはまぁー…私の趣味だから?」

 こん畜生が…。キッと睨みつけるも悟子は明後日の方向を向き、素知らぬ顔で受け流す。
 その隣、丁度時計があるのが見える。私はどれくらい眠っていたのだろう。

「えっ!?もう14時!?」

 驚きの具合に比例して頭も痛む。自分の行動の軽率さに激しく後悔をする。痛みに悶えながら、布団に頬擦りし、あることに気づく。この家にいるはずの居候と客、

「は、羽塚と入鹿は!?」

 ガバーっと持ち上げた身体を再度、布団に埋めることになる。

「あんた馬鹿?」

 いや、はい。今、自覚しました。

「あの二人なら、予定通り観光に行ったわよ。」

 ああ、そうなんだ…。私のことも気にかけず、観光に行っちゃったんだ…。

「私が行けって言ったのよ。」

 え?っと伏せた顔を上げた私の額にデコピンが炸裂する。

「あんた、ほんとめんどくさいわよね…。」
「め、めんどくさいってなによ…。」
「今、自分のこと放っていかれたって思ったでしょ?」
「……」
「けども、あんた。自分のせいで人様の予定が崩れるのも、嫌がるでしょ?」

 正に悟子の言うとおりで、反論もできない。実際に目が覚めて、羽塚達がいたら、さっさと行けと言っているところが容易に想像できる。

「ほら、めんどくさいじゃない。」

 私が理解している以上に、この悟子という女は私を理解しているっぽい。付き合いは5年やそこらなのに、まったく頼もしいものだ。

「そりゃ、羽塚さんも三橋様もかなり心配してたわよ。説得するのに骨が折れたわ。ほんと、あんたが嫌がるって言ってしぶしぶ、行くって感じだったのよ。」

 別に疑っちゃいないが、悟子がわざわざその時のことを身振り手振りで示してくれる。

「そう…心配…してたのね…。」

 そう自分に言い聞かせるようにつぶやきながら、折角、悟子に作ってもらった休養をとるべく、ベッドに仰向けになる。
 たしかに、悟子の言うとおりだ。起きた時に羽塚達がいたら、私のことは放っておいて、さっさと行け!と言っているだろう。

 だけど…。

 本当は…、目が覚めた時ぐらいは、すぐ側にいて欲しかった…かもしれない。
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崎原 一研

エキゾチック:
外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。
外国の人から見れば日本も外国。

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