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CrossConnection 02-10

CC
03 /31 2015
 ナインは反射的にノアの腕を引き寄せる。
「『燃えろ』よ!!」
 つい先程立て直したテーブルを蹴り上げ、素早く身を屈める。その行動を終えるのと黒外套の来訪者の剣先から放たれた炎が到達するのはほぼ同時だった。
 円形のテーブルの周りから炎が溢れる。それをナインはノアを深く抱き込むことで回避する。炎の放射が続く。
「ノア、合図であそこの窓から店を出ろ」
 ナインは視線でその方向を示す。
「ナインは…?」
「やつを少し引き止めたらすぐに追う」
「本当に?」
「ああ、まだおまえは手がかかりそうだからな」
 ナインの言葉を聞いて、ノアは頷きを返す。そのやり取りが終わるタイミングで、テーブルの角から漏れていた炎が途切れた。
「クソが!隠れてんじゃねぇぞ!」
「行け!」

 ナインが合図を出す。それと同時にノアがテーブルの影から飛び出す。
「逃がすか!」
 黒外套の男が剣先をノアへと向ける。続きナインがテーブル影から姿を表す。手には投げナイフを持ち、それをすかさず投擲した。ナインの投擲モーションに気づいた男は剣を振るい、炎でそのナイフを巻く。
「クソ!!」
 店内の光景は騒然としていた。自分たちと男の間にあったテーブルやフローリングは火を燻りはじめ、間にいた客は炎に巻かれ、なんとか消そうと「助けてくれ!!」と叫びながら必死に店内を転がり回っている。「対話者だ!逃げろ!!」や「おい!だれか騎士団を呼べ!」という声が店内に響く。
 そう、敵は対話者。
 その中でナインは冷静に見定める。
 よし、直線上に人はいない。
 近くにあった丸椅子を両手に持ち、体を回転させ勢いをつけて黒外套の男に投げつけた。男は剣を両手で支え、受け止める。
「チッ!!」
 投げ飛ばすと同時にナインは身を翻し、今しがたノアが外に這い出た窓へと走る。男は投擲物に対し炎を出し、勢いと衝撃を和らげ、体勢を崩さずに立っていたが、今しがた退けた障害物ゆえに追撃が一瞬阻まれる。ナインは一飛びで窓枠を超え、外にいたノアの手を取り駆け出す。
 しかし、それもすぐに阻まれた。
 窓から出たのは建物と建物に挟まれた通路。その出口でまた別の、黒の外套を纏った男が二人、待ち伏せていた。足を止め、引き返そうと後ろを振り返る。
「クソがぁあ!!舐めやがって!!!」
 紅の対話兵装を持った男が窓枠に足を掛けているところだった。前方二人の黒衣の男たちは懐から短剣を抜き出す。いずれにも紅の輝石が埋まっていた。

「挟まれたか…」
 ナインは立ち止まる。強引に突き抜けることも考えたが、ノアを連れている状況だと成功率は低い。
 前方の二人組と均衡が生まれる。そう思った矢先だった。二人組が慌てた様子を見せ、塞いでいた道を開けた。
『ーーァァーーーーー!!!!』
 背後から嫌な気配がした。
 ナインはノアの身体を抱き寄せ、なるべき通路の隅へと折り重なるようにして倒れこんだ。
「『燃えろ』ぉぉぉおおおお!!!」
 獣のような咆哮と業火が通路を満たす。
 避けられない。それだけの広がりと熱量、そして感情だった。

 ーーー炎が収束する。
 大量の炎を放出し、男はぜいと息を切らしていた。
 その中、ノアを庇ったナインは通路に横たわり、違和感を感じていた。
 どうなっている?
 あれだけの炎、熱に当てられて。
 ーーー火傷一つ負っていなかった。
 それよりも今は好機。
 ナインはノアを引き起こし、再び走り出す。
「クソ…」
 男は追撃しようと試みたが、足がふらついた。
 ナインたちが狭路を抜けると、先程道を阻んでいた男の一人が短剣で以って斬りつけてきた。それをナインはノアの頭を押さえ、屈み、足を払う。足払いで男は転倒し、もう一人の男の進路を障害となった。
 その隙に街路を進み、路地へと入る。そうすれば地理に明るいこちらの有利となるだろう。
 ーーーが、その前に邪魔が入る。
 路地から新しい黒衣の男が現れ、抜きはなった短剣の切っ先をナインに突きつけていた。その刀身には、例のごとく紅の輝石が埋まっている。
 ナインは切っ先から身体を逸らす。その動作で放たれた炎を躱した。躱すとともに体を捻り、ナインは腰から剣を抜き放つ。新参者はその牽制の一撃を身を引いて避けた。
「まったく何人いやがんだ…」
 駆ける勢いは殺されていた。ナインはその場で剣を構え直す。
「まだ…いる」
「アビスってのは最初のあいつか?」
「違う…。もっと暗く…冷たい」
「そうか」
 そうこうしているうちに、すぐに後続が追いついてきた。最初に現れた男も、今は足取りもしっかりとしている。
 ナインたちは、建物を背にし囲まれていた。

「…ルマノ様。No.Xは殺してはなりません」
「わかってるよ、クソ…。大体ちっと焼いても死なねェだろ」
 おそらく最初に現れた、今ルマノと呼ばれた男、一番深度が深い。
 ナインはそう分析する。
 対話者の能力の高さを『深度』という指標で表す。
 これはアストラル界との結びつきの深さ。結びつきが深いほど多くの力を引き出せ、自在に扱うことができるようになる。ただ、
 ーーー深度が深いほど、人としての感覚が狂う。
 故に扱い辛い。
 現にうまく連携が取れていないように見える。狭路での業火であれ、仲間ごと焼き払うものだった。そう、この男は力に振り回されているのだ。そして、仲間である黒衣の集団は攻めあぐねる。ーーーまだ戦いようはあると見える。それに加え。

「邪魔してんじゃねぇよ!クソが!!」
 ルマノが叫びとともに炎をナインに差し向ける。それをナインはギリギリまで引きつけて躱した。
 ーーー聞こえるんだよ。
 ナインには聞こえていた。忌みし嫌うあの嬌声が。
 続け、放たれる炎を再び躱す。
 そして、敵対話者の元へナインは踏み込んだ。
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崎原 一研

エキゾチック:
外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。
外国の人から見れば日本も外国。

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