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CrossConnection 02-07

CC
11 /30 2014
 さて、これからどうする?
 ノアと共に靴屋『フローレンスフットマッスル』から出て、ナインは思考する。
 購入した外套でノアの姿を目立たないものにした。外套にはフードがついており、被せれば顔を隠すことができる。そうすれば遠くからノアの姿を判別することが難しくなる。加えて、今日という日は夜であっても街中に人通りが多い。一人の人間を注視して探すことは困難な状況である。
 とりあえず、ノアの身を隠すことができた。落ち着いて行動できるだけの体制が整ったと言えるだろう。
 しかし、肝心の問題は何も解決していない。
 問題とは『これからノアをどこに連れていくか』だ。
 ノアの身元、状況がはっきりしていない。出会った時にしたナインからの複数の質問に対して、ノアは「わからない」とだけ答えていた。
 「助けて」と言われた手前、ノアのことを放ってはおけないが、次に何をするべきなのか定かになっていない。それをはっきりとさせなければならないだろう。
 そのためにナインのできること。それは思考するという行為だった。
 これまで得た情報。ノアの風貌と反応。
 そこからナインはノアの立場を予測する。
 『実験対象』
 しかし、何の技術に起因するものなのか、どこに幽閉され実験を行われていたのか、どこかから移送されて来たのか、何者に追われているのか、予測を確信とするための情報は何一つわかっていない。ただ、
 「---助ケテ」
 最初に橙蹟の丘で聞いた声。それをナインはどうしても切り離して考えることができなかった。
 ……対話兵装を使用した時の感覚。
 その感覚に似ていた。ノア自身は否定していたが、何か対話兵装を所持しているのかもしれない。そして、それを媒介として語りかけた。
 そのようなことができるのかもわからないが、そういう研究の対象だったのかもしれないという考えがナインの頭の中にあった。
 仮説を元に対処を決める。
 もし、どこかから連れてこられたのなら、何の目的で連れてこられてきたのか考える必要がある。
 どこかに引き渡すため。ただの民間での人買い程度の取引ならば、騎士団へ保護を求めれば済む。しかし、取引相手がトラヴィオン王国であったならば、話は変わってくる。事はそう単純には済まない。
 以前スパーソンから聞いた、聖歌騎士団の前身、対話兵装の実験部隊という存在がナインの脳裏に思い起こされる。
 帝国に対抗するための手段。国防のために必要な研究。戦時下において省みる余裕もなかった。仕方がなかったと割り切ることはできる。しかし今は状況が違う。それに、
 ---ノアは「助けて」と言った。
 ならば助ける他の選択はナインに存在しない。
 これまでトラヴィオン王国の一施設に幽閉されて実験をされていたのだとしても同様。
 ……なるべくこの可能性は考えたくねぇな。
 この少女とトラヴィオン王国に関わりがある場合、対処としてトラヴィオン王国と事を構えるということも十分有り得る。
 ……面倒なことに巻き込まれちまったかな。
 仮説から展開した可能性ではあるが、捨て切れない可能性であることをナインは思い悩む。
 トラヴィオン王国に関係しているのなら、安易に騎士団の保護を求めるわけにもいかない。
 それにしても…
 ここでナインはこれまでの行程の疑問に行き当たる。
 …追手の姿が見えないな
 まだノアを追う敵の姿を捕捉できていない。
 懸念しているような動きを騎士団は見せていないし、他の勢力も姿を現さない。
 そもそもノアを逃げるように誘導する必要があるのか。
 …敵状がわかれば対処の芽も出てくるのだが。
 何者に追われているのか、はたまた捨て置かれているのか。ノアが抜け出してきたことが気づかれていないのか、気づかれていて、ただ泳がせているだけなのか。把握できていない。
 今後、ノアをどうするのか。
 ……やっぱ本人に聞くか。
 状況に余裕もできてきた。とりあえずあの場を離れ、姿を隠すのを先決として行動してきたが、整理するならばこのタイミングをおいてないだろう。「わからない」にしても、もう少し情報を引き出す必要がある。
「ノア」
 何を質問するか思案しながら、引き連れる手の先のノアに声をかける。
 しかし、返ってくるべき反応がない。
「おい、ノア?」
 ナインは立ち止まり、ノアの方を振り返る。
 ノアの視線はこちらを向いていなかった。追手がいるのかとナインは身構え、その視線の先を窺ってみるが特別怪しい人物はいないように見える。いるのはお祭り騒ぎで飲み交わし、楽しそうにしている人々だけだ。それをノアは呆と見つめている。
「どうした?」
 問いかけに気づき、ノアはナインへと視線を向ける。
「人がたくさん」
 たしかにノアが言うように凱旋パレード後のお祭りで、夜にしては街に人が多く、騒がしい。
「まったく…楽しそうで結構なことだな」
 呆れたようにナインがつぶやく。それに対し、
「楽しいの?」
 ノアがナインの手を強く握り返す。
「あれが楽しいというの?」
 表情に若干の機微。ナインはそれを感じ取った。期待に目を輝かせているように見える。ただ、
 …どういう意図の質問だ?
 街行く人は楽しそうに笑いあっている。見たままだ。それなのにこの質問をするということは…。
「あ、ああ…たぶんそうだな…」
「あそこの人も?」
 感情が薄いというレベルではない。
「あの人も?」
「ああ、そうだな」
 感情を知らないのだ。
 答えの後、ノアは数度頷き、
「私たちは?」
 再度問いを投げる。
「…俺たちはどうかな。これから次第だと思うが。そのためにおまえは逃げてきたんだろう?」
 ナインの答えにノアは胸に手を当て「そうか」と呟き、数度こくこくと頷いた。
「…いいか?」
 少し間をおいてからかけられた声に、ノアは顔を上げる。
 なんとなく扱いがわかってきたような気がする。
「おまえに聞きたいことがあるんだが」
 提案にノアは静かに首を縦に振った。
「私もナインに色々聞きたい」
 ナインはその答えに対し頷きを返す。そして辺りをざっと見渡し、
「場所を変えるか」
 ノアの頷きを見て、ナインはその手を引いた。
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崎原 一研

エキゾチック:
外国の雰囲気・情緒のあるさま。異国的。
外国の人から見れば日本も外国。

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